日々のつぶやきです
俺は気味が悪くなり奴を見ると 奴は「それそれ」と言って弟を指差した
「それ 連れて来ちゃったんだよ」
俺と弟は沈黙してしまった 理解の範疇を越えた奴の話について行きかねたんだ 大体
そこを通り掛かっただけで なんで連れてくるとかいう話になるんだ 俺は怖い話は好きだが
俺自身はまったくの零感なので怖面白いというか 話半分で見ていた そんなのネットの
中だけの話で まさか自分の周りでそんな事が起きるなんて考えもしなかった
勿論弟だって零感だ 家族にも親戚にもいない その沈黙を破ったのは弟だった
「何でついてくるのさ 俺まったく関係ないじゃん!」
「何か波長が合っちゃったんじゃね?」
「波長って…」
「たまにいるんだよね~ そうやって連れて来ちゃう奴って」
俺はなんだか奴が薄気味悪くなってきた 態度のデカさもそうだけど この状況と
こいつの口調の軽さとのギャップが気持ち悪かった
「ま でも家の作りもしっかりしてるし 方角も悪くないし しばらくしたら諦めていなくなる
と思うよ 中に入れない限りな」
そう言うと 奴はやれやれといった感じで立ち上がると
「じゃ俺帰るわ 〇〇さん送ってってよ」
と部屋を出て行った 時計を見るともう8時を過ぎていた 俺は
「今日はもう学校行きたくない」
と言う弟に無理矢理支度させ車に押し込んだ 助手席にはちゃっかり奴が乗り込んでいる
件の道は避け 始業にやや遅れて学校に送り届けた後 奴の足が置いてある職場まで送って
行った 奴は降り様に
「〇〇さん明日のシフト代わってあげるよ 弟についててやれば?」
と言った いい奴なんだか嫌な奴なんだかわからない
「すまん」
と礼を言うと 人の悪い笑みを浮かべて、
「今度酒奢ってくださいよ 〇〇先・輩」
と言い残し 自分の車に乗り込むとさっさと行ってしまった とりあえず俺はまた実家に戻り
弟からの連絡があるまで爆睡し 迎えに行きがてら花と線香を買い 帰りにその犬の死体が
あったという場所で(死体はもう無かった)二人で両手を合わせて帰ってきた
その晩は二人して仏壇のある部屋で寝て 次の日も学校まで送り 出張から帰ってきた親父に
事の顛末を簡単に説明して バトンタッチしてアパートに帰った その後は特に何もない
事務所で奴と顔を合わせた時に いつ飲みに行くかを聞かれただけだった
終わり
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